着物クリーニングよくある質問
着物に血液がついてしまった。
血液のシミは、着物が赤く染まったり、裏まで血液が浸透してしまう。などで
比較的すぐに付着してことに気付くシミ・汚れだと思います。
血液のシミは、洋服に付いた際にご自身で処置されたお客様も多く
着物の場合でも自己処置されて失敗されるケースも多い汚れの一つです。
血液の成分は、タンパク質です。タンパク質は生地に浸み込む・凝固すると非常に落ちにくくなります。
タンパク質は高温で凝固しますので、アイロンで乾かしたりは絶対しないでください。
また、血液に含まれる鉄分や色素が残ってしまうこともありますので、
ご自身で処置しないで専門家に委ねてください。
血液の汚れ(タンパク質)は、そのままにしておくと着物にダメージがかかります。
タンパク質は虫食い・カビ・繊維の劣化を誘発いたします。
古くなったタンパク質の汚れで症状がひどい場合は、水や薬品をかけるだけで生地に穴が空いてしまいます。
特に汚れを触って固くなっているものは、注意が必要です。タンパク質が凝固して見た目は穴が空いていませんが、
実は生地はボロボロになっていることがあります。
プロでも復元が不可能になりますので、早い段階でのお手入れをおススメします。
シミが付いたので応急処置をしたら、着物が白く擦れたようになってしまった。
正絹の着物の一番の大敵は「水」です。
染物などは、水でたたくだけでも色が落ちてしまうものもあります。
そして、一番多いのトラブルは、水分を含んだ汚れ・水分を含ませた布でシミ・汚れが付いた箇所を
こすってしまうことで起こるスレ(白っぽく生地が毛羽立ってしまう)です。
水分を含んだシルク製品は、摩擦には非常に弱い性質であります。
応急処置をする場合でも、生地に足して直角にたたいて汚れを押し出すような感じで処置をしてください。
スレは斜めにしてみると白っぽく見えます。繊維の毛羽立ち状の症状なので汚れとは違い修繕が非常に難しいです。
目立たなくはできますが、完全に直すことは不可能ですので十分にご注意ください。
衿元のファンデーション汚れ
着物を着用した際に、必ずといってよいほど汚れが付いてしますファンデーションの衿汚れ。
ファンデーションは、油性の汚れなので石油系溶剤で落とすことが出来ます。
手軽に購入できるベンジン・えりもと・リグロインなどでお手入れされているお客様も多いと思います。
自分で衿元の汚れを落としているお客様からよく聞く事例は、
だんだんと汚れが落ちなくなってきたという事が多いようです。
①落ちなくなったのではなく完全に汚れ自体を除去できていなかった。
②汚れは薄くなっているが、周りに広がっていたりすることもあります。
③汗などの水溶性の汚れが除去できていなかった。水溶性の汚れは、石油系溶剤(ベンジンなど)ではほとんど除去でません。
など、様々な原因が考えられますが
付着してから時間が経つほどに汚れは落としにくいものとなります。
付着して間もない程度の軽い汚れでしたら、着物丸洗い(クリーニング)で落とすことができます。
着物全体に付いた皮脂汚れやチリ・埃や排ガスなども綺麗にすることができますので、
あまり頻繁にする必要はありませんが、シーズンの終わりや長期間収納する場合などはおススメのお手入れ方法です。
室外で着物を着て出歩いていない、数時間しかきていないなどの場合は、
衿元の部分洗いだけでも充分な場合もありますので、専門家に着物の状態を診断してもらうのが、
お財布にも優しく、着物にも優しいお手入れ方法かと思います。