着物の豆知識
2017年03月30日

着物の格を見分けるポイント

着物の種類

着物の格を見分けるポイント

第一礼装着(打掛、白無垢、黒留袖、振袖)は見分けやすい着物でありますが、準・略礼装着の着物を見分けるのは様々な条件が重なるため分かりにくいと思われている皆様も多いのではないでしょうか。訪問着、色無地など着物の種類で大まかに分類することが出来ますが、さらに細かく着物の格を分類するポイントをご紹介します。

基本的な着物の格の見分け方は、「紬(織り)の着物でなく正絹(染め)の着物である」、「絵羽模様の着物である」、「古典模様である」、「家紋が入っている」、「家紋の数が多い」 この条件に当てはまる数が多いほど格が高い着物となります。箪笥の中の着物の活用や、新たに着物を購入される場合のご参考にしていただければと思います。

 

Point Ⅰ やわらかものか 織りの着物か

着物は、着物用語で「やわらかもの」と言われる染めの着物の方が、織りものより格が高くなります。染の着物は、留袖、振袖、喪服、訪問着、色無地、付下げ、小紋などになります。刺繍の施されている着物は豪華にみえますが、格が高くなるという訳ではありません。正装できるように開発された絵羽模様の織り、紬の訪問着や振袖は、まだ正装としての考え方が定着していないため正式な式典や儀式で正装として着用しない方が無難です。

代表的な染め技法は、糸目友禅、素描き、ろうけつ染め、箔置き、型染めなどになります。

 

Point Ⅱ 模様の柄付け

黒留袖や色留袖の衿、胸、袖に柄がなく衽から上前前身頃から脇をまたぎ後身頃にかけて柄付けされている江戸褄模様の絵羽模様。訪問着の衿、胸、袖、身頃の縫い目をまたいで柄付けされている絵羽模様。衽と身頃をまたぎ絵羽付けされ訪問着のような付下げ、柄の合口がなく肩・袖山にむかって柄がすべて上を向いている一方付けの付下げ。一定方向に同じ柄繰り返し描かれている小紋。の順で格が高くなります。

一色染めの色無地や喪服は、家紋の数で格が変わります。小紋の中でも柄が細かく遠目からみた時に色無地のようにみえる江戸小紋(小紋三役)は、小紋の中でも格が高くなります。無地場の多い飛び柄なども格が高くなります。

 

Point Ⅲ 紋様

古典柄やモダンな柄の訪問着は格自体は変わりませんが、吉祥文様、正倉院文様、有職文様など伝統的な古典文様は、格式ある場所の装いに向きます。着物を新たに誂えたり、購入する際は、着用する機会が多いシーンを考え柄を選ぶことをお勧めします。

 

Point Ⅳ 家紋の数

縫い紋より染め抜き紋の方が格が高くなります。紋の数は、五つ紋、三つ紋、一つ紋の順で格が高くなります。黒留袖、喪服は必ず日向紋の五つ紋をいれます。色留袖、色無地は紋の数により格が変わります。江戸小紋は一つ紋を入れることで着用シーンが増えます。振袖、訪問着、付下げは紋を付けない方が主流になっています。お洒落紋は紋を入れても格は変わりません。現在。黒留袖や喪服以外の礼装着の場合、家紋の数を少なめにされるのが主流となっています。

 

 

帯の格を見分けるポイント

着物をお召になる際の格は、着物を中心に考えます。帯は、着物をより改まった雰囲気にするか、軽くするかなどの微調整をする役割と考えるとコーディネートがやり易くなります。帯の格でいいますと、丸帯、二重太鼓の袋帯、一重太鼓の名古屋帯、半幅帯になります。同じ袋帯での格の見分け方は、「染めの帯でなく織りの帯か」、「金銀箔や金銀糸を使用している」、「文様が格調あるものかどうか」を見分けることがポイントとなります。

 

Point Ⅰ 染めの帯か 織りの帯か

帯は、着物とは反対の考え方になります。染めの帯より織りの帯の方が格が高くなります。「染めの着物に織りの帯」とよくいわれるように、留袖や訪問着、付下げなどの礼装着には、織りの袋帯をあわせます。生地が紬地の織り帯は、カジュアルな装いに向きます。染め帯は、一般的にカジュアル向きとフォーマル向きのものがあります。柄に金銀が入っているか、柄の雰囲気を見極める必要があります。

 

Point Ⅱ 金銀糸がどのくらい使用されているか

金銀糸、金彩、銀彩をたくさんはいっているものは礼装向きの帯になります。金銀糸や金銀彩が使われていない帯は、お洒落用、カジュアル用向きになります。紬地の帯は、カジュアル向きになりますので、一般的に金銀糸や金銀彩を使用いたしません。金銀糸や金銀彩を抑えた洒落袋帯は、準・略礼装から外出着の小紋や紬に向きます。地色の殆どが金銀糸、金銀彩が使用されている帯は、もっとも改まった正装用着物に向きます。

 

Point Ⅲ 文様

日本の伝統文様には、文様自体に意味が込められている物が多く、特に吉祥文様、有職文様、正倉院文様など古典柄は格が高くなります。

 

Point Ⅳ 帯の種類

基本は、丸帯→袋帯→洒落袋帯→名古屋帯→八寸帯→半巾帯 の順で格が高くなります。綴織りの八寸帯は、金銀糸を用いたものは正装よりになります。洒落袋帯と織り名古屋帯も金銀糸、金銀彩などの分量や文様によって変わる場合もあります。

 

Point Ⅴ 帯の柄付け

帯の柄付けには、帯の前面に柄がはいっている「全通柄」、帯を締めた際にみえない胴の部分に柄がない、全体の6割程度柄がはいっている「六通柄」、お太鼓と前腹の部分にだけポイント柄をいれる「お太鼓柄」とがあります。手描きの染め帯は、お太鼓柄の柄付けが多いです。